2023年1月14日に放送されたすくすく子育て「予防接種の基本」をまとめていきます。
子どもが産まれるとたくさんの予防接種を受け始めますが、実際にワクチンがどのようなものなのか不安や疑問がある方も多いです。
そのような予防接種に対する不安や疑問を解決していきます。
予防接種のワクチンとはどのようなものなのか?
言われるがままに受けている予防接種ですが、実際に予防接種のワクチンがどのようなものなのか疑問に思うことは多いです。
予防接種のワクチンがどのようなものなのかを説明していきます。
ヒトの免疫の仕組み
ヒトの体は、病原体が体の中に一度入ると病気にかかりにくくなる仕組みになっていて、この仕組みを「免疫」と言います。
ワクチンはこの免疫の仕組みを利用したものです。
ワクチンを予防接種すると、その病気に対しての免疫を体の中に作ることができるので、自然感染で病気にかかることを防ぐことができるようになります。
予防接種は「免疫システム」を利用して体を守る仕組みです。
子どものかかりやすい感染症とワクチン
子どものかかりやすい感染症はたくさんあります。
その中でも、感染によって命の危険があったり、後遺症を残す可能性がある感染症については、ワクチンが開発され予防接種が行われるようになっています。
ワクチンあり | ワクチンなし |
---|---|
Hib感染症 小児肺炎球菌感染症 麻疹 風疹 破傷風 日本脳炎 ポリオ 水ぼうそう ジフテリア B型肝炎 百日せき ロタウイルス胃腸炎 結核 おたふくかぜ インフルエンザ 新型コロナウイルス感染症 | ノロウイルス胃腸炎 手足口病 突発性発疹 ヘルパンギーナ RSウイルス感染症 尿路感染症 とびひ 流行性角結膜炎 咽頭結膜熱(プール熱) 溶連菌感染症 アデノウイルス感染症 カンピロバクター感染症 マイコプラズマ肺炎 サイトメガロウイルス感染症 伝染性紅斑(リンゴ病) サルモネラ感染症 サポウイルス感染症 梅毒 ヘルペス感染症 ライノウイルス感染症 伝染性単核症 ヒトメタニューモウイルス感染症 |
Hib感染症・小児肺炎球菌感染症
ワクチンが行われている疾患についての重症例を挙げると、「Hib感染症」「小児肺炎球菌感染症」によって起こる「細菌性髄膜炎」というものがあります。
昨日までは発熱があっても元気だった子どもが、翌日になるとぐったりしていて、細菌性髄膜炎によって後遺症を残したり、亡くなった事例もあり、小児科医としても怖い病気でした。
ただ、ワクチンができたことによって激減することになりました。
自然感染とワクチンのどちらであっても「免疫」はできるのか?
免疫は、自然感染であってもワクチンであってもつけることはできますが、重症化のリスクなどに違いがあります。
自然感染 | 予防接種 | |
---|---|---|
重症化のリスク | 高い | ほとんどなし |
他者への感染 | しやすい | しない |
免疫の強さ | 強い | 自然感染より弱い |
予防接種では自然感染に比べて、免疫が弱い場合もあるので繰り返し予防接種を受けることが重要なものもあります。
ワクチンの安全性は「治験」でどう調べているのか?
治験は安全性を保つためにいくつかの段階を踏んで行われています。
有効な成分を見つけたあとに、マウスなどで有効性や安全性を調べます。
第Ⅰ・Ⅱ相試験 少人数の人を対象に調べる
マウスなどで安全性の確認ができたら、次に少人数の人を対象に安全性を調べます。
第Ⅲ相試験 大規模で調べる
少人数の人においても安全性が確認できたら、大規模(数千~数万人)の人数で安全性を調べていきます。
承認される
すべての安全性が確認されると承認され、使用されるようになります。使用が開始されてからも情報を集め、分析・評価を行います。
通常、治験は5~10年をかけて行われます。
この10年で定期接種になったワクチン
Hibワクチン/肺炎球菌ワクチン | 2013年4月 |
水ぼうそうワクチン | 2014年10月 |
B型肝炎ワクチン | 2016年10月 |
ロタウイルスワクチン | 2020年10月 |
Hibワクチンの導入で、Hib(ヒブ)による細菌性髄膜炎の罹患率が98%減少(2010年→2013年)したと報告があります。
小児のHib(ヒブ)・肺炎球菌ワクチンの定期接種化は、多くの先進国では1990~2000年代に行われていたが、日本では2013年からであり、この予防接種開始については多くの親御さんたちの働きかけによるものでした。
Hibなどのあまり聞き慣れない病気は、それだけ予防接種が浸透して重症化しなくなったから病名を聞かなくなったということです。
予防接種の「定期接種」と「任意接種」の違いは?
予防接種には、公費となる「定期接種」と自己負担となる「任意接種」があります。
定期接種 | 任意接種 |
---|---|
B型肝炎 ロタウイルス ヒブ 小児用肺炎球菌 四種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ) BCG MR(麻疹・風疹) 水ぼうそう 日本脳炎 | おたふくかぜ インフルエンザ など |
任意接種だからといって重要ではないということではなく、海外では定期接種化されているものもあります。
おたふくかぜなどは、自然感染の場合に約500~1,000人に1人の割合で難聴になることもあります。
予防接種のスケジュールはどのようにしたらよいのか?
小学校入学までに受けなければいけない予防接種は多く、子どもの体調によって受けれないなどスケジュールを立てることが大変です。
期間内に予防接種を受けれなかった場合には?
子どもの体調不良などで予定していた日に予防接種を受けれなかった場合でも、体調が良くなったときに速やかに予防接種を受ければ効果は大きく変わることはありません。
ただ、一部の病気に関しては期間を空けた方が良いものもあるので、かかりつけ医に相談して接種時期を決めることが大切です。
子どもの体調の確認方法
子どもの体調は「くう(食事)・ねる(睡眠)・あそぶ(活気)・だす(排せつ)」の4つで確認します。
この4つがいつもと同じようにできているのなら心配ないが、いつもと違うようであったら、予防接種を延期することも考えます。
同時接種と少しずつ接種するのはどちらが良いのか?
小児科学会では同時接種を推奨していこうというながれがあります。
同時接種ではスケジュールが組みやすくなり、早期にかかる病気に対してワクチンによって守ることができるからです。
その病気にかかる期間が短くなることが一番大きなメリットになります。
副反応に関しては、同時接種するから重くなるというわけではありません。
予防接種については「予防接種スケジューラー」というアプリがあるので利用すると便利です。
副反応が出たときにはどうしたらよいのか?
予防接種についてはどうしても副反応が出ることがあります。
副反応については軽度のものと重度のものがありますが、軽度のものは数日でおさまってくるので心配しなくていいです。
ごくまれに重度の副反応が出るが、病院に相談をすることが大切です。
軽度 | 重度 |
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【局所】 赤くなる・腫れる・しこり など ・MRワクチン(3.7%) ・インフルエンザ(9.1%) | 【アナフィラキシー】 じんましん・しびれ・息苦しさ など ・インフルエンザ(0.00004%) |
【全身】 発熱・倦怠感・頭痛 など ・MRワクチン(18%) ・インフルエンザ(1.5%) | 【髄膜炎】 けいれん・意識障害 など ・おたふくかぜ(0.01~0.1%) |
接種後の体調不良に関しては病院に相談することが大切です。
予防接種の基本「子どもへのワクチン接種」の不安・疑問を解決!!|まとめ
今回は、子どもの予防接種に関しての不安や疑問についてまとめました。
予防接種は子どもが健康に過ごすためにとても重要なことが分かりました。
スケジュールをしっかり立てて、子どもの健康を守っていきましょう。