医療機関において医師がくわしく病状を調べたいときには、複数の検査をオーダーします。
その中で、単純X線検査も簡易的に行われる検査のひとつです。
また、定期的な健康診断でも行われることがあり、職場の健診において行われる胸部レントゲン撮影も単純X線検査になります。
今回は、医療機関の単純X線検査がどのようなものなのかをくわしく解説します。
単純X線検査の原理
目的部位の単純X線検査を行う場合、X線が体に照射されると「透過して体外に出てくるX線」 「体内で吸収されるX線」に分かれます。
透過・吸収の具合は体の組織ごとで異なり、その差を白から黒の濃淡の変化で表したものがX線写真になります。
X線を用いた検査では、透過した部分は「黒」、吸収された部分は「白」で表されています。
- 透過して体外に出てくるX線 → 黒く写る
- 体内で吸収されるX線 → 白く写る
肺などの空気が多い臓器はX線をよく透過するので黒く、骨などはX線をよく吸収するので白く表されます。
障害陰影になるものは外して撮影する
透過・吸収の具合によって写真の写りが変化するので、撮影するときには撮影部位には金具やプラスチックなどはないように着替えて撮影を行います。
単純X線検査の撮影において、写り込んでしまった邪魔なものを「障害陰影」と言い、以下に挙げたようなものが障害陰影になります。
ヘアピン、アクセサリー類、ブラジャー、ボタン、ファスナー、エレキバン、カイロ、湿布 など
撮影部位以外にある異物は障害陰影にはなりません。
単純X線検査においての実際の画像
単純X線検査においての実際の画像を集めてみました。
頭部X線撮影
頭部X線撮影は、頭の骨のレントゲン撮影です。
めがね、ピアス、ヘアピンなどは障害陰影になるので外します。
胸部 X線撮影
胸部X線撮影は、胸(主に肺)のレントゲン撮影です。
健康診断で撮影するのも胸部X線撮影です。
湿布、エレキバン、ブラジャーなどは障害陰影になるので外します。
腹部 X線撮影
腹部X線撮影は、お腹のレントゲン撮影です。
便秘のときなどに撮影されることが多いです。
湿布、エレキバン、ファスナー、ブラジャーなどは障害陰影になるので外します。
頸椎X線撮影
頸椎X線撮影は、首の骨(頸椎)のレントゲン撮影です。
基本は、正面・側面・両斜位の4方向撮影になります。
整形外科の病院では、前屈・後屈・開口位を加えた7方向撮影というのもあるのでたくさんの撮影方法があります。
めがね、ピアス、ネックレス、湿布、エレキバンなどは障害陰影になるので外します。
腰椎X線撮影
腰椎X線撮影は、腰の骨(腰椎)のレントゲン撮影です。
頸椎同様、正面・側面・両斜位の4方向撮影が基本になります。
整形外科の病院では、前屈・後屈を加えた6方向撮影を行うことがあります。
湿布、エレキバン、ベルトなどは障害陰影になるので外します。
股関節X線撮影
股関節X線撮影は、股関節の骨(大腿骨頸部)のレントゲン撮影です。
高齢者になると、転倒することによって股関節の骨を骨折するリスクが高くなります。
ベルト、ファスナー、湿布などは障害陰影になるので外します。
肩関節X線撮影
肩関節X線撮影は、肩の骨(上腕骨、鎖骨、肩甲骨)のレントゲン撮影です。
湿布、エレキバン、ブラジャーなどは障害陰影になるので外します。
肘関節X線撮影
肘関節X線撮影は、肘の骨(肘関節)のレントゲン撮影です。
湿布、エレキバンなどは障害陰影になるので外します。
手関節X線撮影
手関節X線撮影は、手首の骨のレントゲン撮影です。
股関節の骨と同様、手関節は高齢者の転倒によって骨折しやすい部位になります。
湿布、エレキバン、腕時計などは障害陰影になるので外します。
膝関節X線撮影
膝関節X線撮影は、膝の骨のレントゲン撮影です。
湿布、エレキバンなどは障害陰影になるので外します。
足関節X線撮影
足関節X線撮影は、足首のレントゲン撮影です。
捻挫などのときに撮影する部位です。
湿布などは障害陰影になるので外します。
単純X線検査をくわしく解説!!|まとめ
今回は、医療機関の単純X線検査がどのようなものなのかをくわしく解説しました。
紹介した画像はほんの一部であり、いろいろな撮影方法で多くの画像を撮影しています。
ケガをしない限り、レントゲンはなかなか撮影する機会はありませんが、雰囲気だけでもわかってもらえたらと思います。