病院受診の「領収書・明細書」くわしい見方をわかりやすく解説します

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病気をして医療機関を受診したときには、お金を払った後に「診療費請求書兼領収書」「診療明細書」が渡されます。

この2つの用紙は、医療機関で行った医療行為の内容やかかった医療費が記載されているのですが、素人が見てもまったく理解できません。

また、病院で働くスタッフであっても、医療事務のスタッフでもない限り内容を理解している人は少ないです。

ただ、「診療費請求書兼領収書」と「診療明細書」の見方を知ると、自分にどのような医療が行われたのかを把握できるので便利です。

今回は、どのようなことが記載されているかを知りたい方のために、「診療費請求書兼領収書」と「診療明細書」の詳しい見方を解説します。

目次

「診療費請求書兼領収書」と「診療明細書」のくわしい見方

「診療費請求書兼領収書」と「診療明細書」は、医療機関で行った医療行為の内容やかかった医療費が記載されているもので、病院受診で会計が終わると渡されます。

この2つの用紙の中身を確認することで、病院受診の際に行われた診察や検査を把握することができます。

医療費は「1点=10円」で記載されている

診療費請求書兼領収書・診療明細書での医療費の表示は「点数」で表示されていて、「1点=10円」で計算されます。

例えば、500点の検査の場合、5,000円の検査費用となり、負担割合が3割の人なら「5,000円×3割=1,500円」の自己負担額になります。

10円未満の端数がある場合には、医療機関の窓口では10円未満を四捨五入した金額になります。

1点=10円

500点の検査の場合、5,000円の検査費用

負担割合が3割の人なら「5,000円×3割=1,500円」が自己負担額

診療費請求書兼領収書の見方

医療機関ごとで書式は異なりますが、診療費請求書兼領収書は下の画像のようなものになります。

病院受診の「領収書・明細書」かかった医療費のくわしい見方を解説します

今回は、この診療費請求書兼領収書に記載されている中の6つの項目について説明していきます。

病院受診の「領収書・明細書」かかった医療費のくわしい見方を解説します

① 保険の種類

日本国民は、国民皆保険制度のもとで公的医療保険に加入することになっています。

そして、公的医療保険に加入していることを証明するものが「健康保険証」です。

健康保険の種類概要
健康保険「組合健保」単独(700人以上)、共同(3,000人以上)の社員がいる企業が設立
健康保険「協会けんぽ」組合健保以外の企業
健康保険「船員保険」船員
健康保険「共済組合」公務員
国民健康保険自営業や無職の人
後期高齢者医療制度75歳以上の方、65歳以上75歳未満で定められた障害認定を受けた方

公的医療保険には加入対象者ごとに種類があり、それに伴い健康保険証も異なります。

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② 負担割合

公的医療保険に加入している場合、医療費の支払い額は一部負担になります。

負担の割合は基本的に「3割負担」になります。

ですが、年齢や所得によって「1割負担」や「2割負担」の割合になります。

年 齢負担割合
6歳(義務教育就学前)未満2割負担
6歳(義務教育就学後)以上69歳まで3割負担
70歳以上74歳まで2割負担
75歳以上1割負担

70歳以上の場合は「2割負担・1割負担」となりますが、所得が「現役並み所得者(年収370万円以上)」に該当する場合には「3割負担」になります。

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③ 診療区分

医療機関で行われる医療行為は、その内容によりいくつかの診療区分に分類されています。

診療費請求書兼領収書には、診療区分ごとの医療行為の保険点数を合計した点数が記載されます。

診療区分概 要
初・再診料・診察に関するお金
・休日や病院の診療時間外に診察をしてもらった際の割増料金
医学管理等・特殊な病状の場合に追加で徴収される割増料金
在宅医療・自分の家で診察、治療を行った際のお金
投薬・医師が患者様の病状に合わせて薬を選んでくれたときのお金
注射・注射をしてもらったときのお金
処置・体の症状に対して行う簡単な治療に関するお金
・すり傷の治療
・やけどの治療
・浣腸
・魚の目、たこの治療
・リハビリでの電気治療
・手術の必要のない骨折へのギブスの作成 など
手術・体の症状に対して行う複雑な治療に関するお金
・切り傷、刺し傷への縫合
・傷口を開く必要がなくても、折れた骨を動かして元の位置で固定する必要がある骨折
・傷口を開き、折れた骨を元の位置で固定する必要がある骨折
・爪白癬において爪を除去する治療 など
麻酔・痛みの症状に対して ”麻酔薬” を使用した治療をしたときのお金
検査・体の症状や病状に合わせて行った検査に関するお金
・検尿
・採血
・心電図
・超音波(エコー)検査
・胃カメラ  など
画像診断・レントゲンに関する検査に対してのお金
リハビリテーション・リハビリテーションを受けたときのお金
精神科専門療法・精神科で行う専門的な治療にかかるお金
放射線治療・放射線治療を行った際のお金
病理診断・組織を採取し病理診断を行った際のお金
入院料等・入院に関するお金

④ 保険適用・保険適用外・自費

医療機関での診察料は、公的医療保険に加入することで一部の負担割合での支払いですみますが、診療内容によっては保険が適用されないものもあります。

診療費領収書において、医療保険の適用になるものは「保険適用」の欄に、医療保険の適用にならないものは「保険適用外」に、医療保険を使用しないものは「自費」の欄に金額が記載されるようになっています。

保険適用・医療保険の適用になるもの
・診察代の一部を支払う
保険適用外・医療保険の適用にならないもの
・診察代の全額を自分で支払う
自費・医療保険を使用しないもの
・診察代の全額を自分で支払う
保険適用:一部負担

病院を受診した際に「医療保険の適用になるもの」は、風邪などの病気や捻挫や骨折などのケガ、悪性腫瘍の治療など、患者様の身体に対して検査・治療が必要と認められるものです。

保険適用外:全額自己負担

病院を受診したとしても「医療保険の適用にならないもの」は、健康診断などの健康な状態な方が受ける検査や自分が綺麗になるために行う美容整形などです。

健康診断については、医療保険の適用になりませんが、もし健康診断で何か病状が発見されたときには、その先に行う検査・治療は医療保険の適用になります。

自費:全額自己負担

病院で手術や入院をしたことの証明するために、診断書を記載してもらうときなどにかかる金額にあたります。

⑤ 保険点数(○○点)

医療機関で行われる医療行為は、医療行為ごとに診療報酬が定められています。

定められている診療報酬には「○○点」という単位が使用されており「1点=10円」で計算され、10点なら100円・50点なら500円・100点なら1,000円という計算になります。

一緒に渡される診療明細書の合計点数と診療費請求書兼領収書の合計点数は同じ点数になります。

⑥ 予防接種、健康診断料など

医療保険は病気の疑いがある場合や、ケガをしている場合などのときのみ適用されるので、健康なときに行う予防接種や健康診断については別に記載されます。

  • インフルエンザ予防接種
  • 風疹・麻疹のワクチン
  • 職場の健康診断
  • 人間ドック
  • 脳ドック  など

医療保険は病気の疑いがある場合や、ケガをしている場合などのときのみ適用されます。

診療明細書の見方

医療機関ごとで書式は異なりますが、診療明細書は下の画像のようなものになります。

病院受診の「領収書・明細書」かかった医療費のくわしい見方を解説します

今回は、この診療明細書に記載されている中の4つの項目について説明していきます。

病院受診の「領収書・明細書」かかった医療費のくわしい見方を解説します

① 診療区分

医療機関で行われる医療行為は、その内容によりいくつかの診療区分に分類されています。

診療明細書では、行われた医療行為がすべて記載されるようになっています。

診療区分概 要
初・再診料・診察に関するお金
・休日や病院の診療時間外に診察をしてもらった際の割増料金
医学管理等・特殊な病状の場合に追加で徴収される割増料金
在宅医療・自分の家で診察、治療を行った際のお金
投薬・医師が患者様の病状に合わせて薬を選んでくれたときのお金
注射・注射をしてもらったときのお金
処置・体の症状に対して行う簡単な治療に関するお金
・すり傷の治療
・やけどの治療
・浣腸
・魚の目、たこの治療
・リハビリでの電気治療
・手術の必要のない骨折へのギブスの作成 など
手術・体の症状に対して行う複雑な治療に関するお金
・切り傷、刺し傷への縫合
・傷口を開く必要がなくても、折れた骨を動かして元の位置で固定する必要がある骨折
・傷口を開き、折れた骨を元の位置で固定する必要がある骨折
・爪白癬において爪を除去する治療 など
麻酔・痛みの症状に対して ”麻酔薬” を使用した治療をしたときのお金
検査・体の症状や病状に合わせて行った検査に関するお金
・検尿
・採血
・心電図
・超音波(エコー)検査
・胃カメラ  など
画像診断・レントゲンに関する検査に対してのお金
リハビリテーション・リハビリテーションを受けたときのお金
精神科専門療法・精神科で行う専門的な治療にかかるお金
放射線治療・放射線治療を行った際のお金
病理診断・組織を採取し病理診断を行った際のお金
入院料等・入院に関するお金

② 保険診療名

保険診療名には受診の際に行われた医療行為が診療区分ごとに記載されています。

記載されている医療行為の名称は、「医科点数表の解釈」に記載されている医療行為の正式名称です。

医療行為の正式名称で記載されているので、少し難しく感じますが、名称を見ればある程度どのような医療行為なのかを確認することができます。

採血検査などで複数の項目の検査をする場合には項目名も記載されています。

「採血検査」の記載例
  • 末梢血液一般
  • 血液化学検査(13項目)
    • BIL/総、AST、ALT、ChE、γ-GT、TP、TG、HDL-コレステロール、BUN、クレアチニン、ナトリウム及びクロール、カリウム、LDL-コレステロール
  • 内分泌学的検査(2項目)
    • NT-proBNP、TRACP-5b
  • B-V
  • 血液学的検査判断料
  • 生化学的検査(1)判断料
  • 生化学的検査(2)判断料
「巻き爪の治療」の記載例
  • 創傷処置(100㎠未満)
  • 手術 8日
    • 陥入爪手術(簡単) 1指
  • 2%カルボカイン注 6mlV
  • 非固着性シリコンガーゼ(凹凸部位用) 1枚
「膝のレントゲン撮影」の記載例
  • 電子画像管理加算(単純撮影)
  • 左膝関節
    • 単純撮影(デジタル撮影) 2回
    • 単純撮影(ロ)の写真診断 2回

③ 保険点数(○○点)

医療機関で行われる医療行為は、医療行為ごとに診療報酬が定められています。

定められている診療報酬には「○○点」という単位が使用されており「1点=10円」で計算され、10点なら100円・50点なら500円・100点なら1,000円という計算になります。

一緒に渡される診療明細書の合計点数と診療費請求書兼領収書の合計点数は同じ点数になります。

④ 回数

記載された医療行為が行われた回数です。

ほとんどの場合で「1」になります。

病院受診の「領収書・明細書」くわしい見方をわかりやすく解説します|まとめ

今回は、「診療費請求書兼領収書」と「診療明細書」の詳しい見方を解説しました。

「診療費請求書兼領収書」と「診療明細書」の見方を知ると、自分にどのような医療が行われたのかを把握できます。

今回の記事を参考にしてぜひ確認されてみてください。

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