地震によって起こる建物の倒壊は、ただ地震の規模が大きいという理由だけで起こるわけではありません。
そこには、「揺れの強さ」 「揺れる時間」 「共振現象」の3つの要因が大きく関わっています。
今回は、地震によって建物が倒壊する3つの要因について解説していきます。
地震によって建物が倒壊する3つの要因
地震が起きると、その揺れによって多くの建物が破損や倒壊といって被害を受けます。
この建物の被害には「揺れの強さ」 「揺れる時間」 「共振現象」の3つが大きな要因となっています。
① 揺れの強さ
最近では、耐震性の高い建物が多く建てられるようになりました。
ですが、そのような建物であっても、起きた地震の揺れが建物の強度を上回る強さであった場合には、建物は揺れ動くことになります。
そして、その揺れに耐えられない建物は倒壊することになります。
過去に起きた地震の規模と揺れの強さ
過去に起きた地震の規模と揺れの強さをまとめました。
震度 | マグニチュード | ガル | カイン | |
---|---|---|---|---|
阪神淡路大震災 | 6強 | 7.3 | 891 | 125 |
新潟県中越地震 | 7 | 6.8 | 1,722 | 153 |
東日本大震災 | 7 | 9.0 | 2,933 | 117 |
熊本地震前震 | 7 | 6.5 | 817 | 170 |
熊本地震本震 | 7 | 7.3 | 899 | 202 |
地震の揺れの強さには、ガル(gal)やカイン(kine)といった単位が用いられています。
ガル(gal・加速度)は、単位時間あたりにどれだけ速さが変化したかを表したものです。
速度が毎秒1cmずつ速くなる加速状態が1ガルで、標準的な地球上の引力(重力加速度)は980ガルになります。
1,000ガルは時速108kmで走る車が3秒間で急停車するときの加速度に相当するので、かなりの圧力がかかることが分かります。
カイン(kine・速度)は、地盤の揺れの速さを表す単位です。
1カインは1秒間に1cm動いたことを意味します。
② 揺れる時間
建築物には、釘などで止めた合板や柱同士を固定するための金具が使用されています。
それらの接合部分は、地震が起きるたびに釘が抜けてきたり、金具が緩むなどして弱ってきます。
そして、それによって建物の耐震強度は落ちることになります。
揺れている時間が長くなるほど、建物の損傷は蓄積され、建物内部の損傷はひどくなっていきます。
地震による釘や金具のずれを極力なくすために、ミサワホームのように接着剤で接合するハウスメーカーもあります。
ミサワホームの高分子接着剤は、わずかな接着面で総重量約2トンの乗用車を吊り上げられます。
③ 共振現象
地震が起きたときには、まず地面が揺れて、その影響で建物も揺らされます。
このとき、地面の揺れと建物の揺れが重なってしまうと建物の揺れがどんどん大きくなってしまう現象が起きてしまいます。
これが「共振現象」です。
公園のブランコの揺れのリズムに、押すリズムを合わせることでどんどん揺れが大きくなる現象も「共振現象」です。
建物ごとに違う固有周期
揺れがどんどん大きくなる共振現象ですが、すべての建物が同じ揺れの大きさで共振現象が起こるわけではありません。
建物が揺れるリズムは、建物の「高さ・重さ・固さ」などによって決まります。
そして、この建物ごとの周期を「固有周期」と呼びます。
固有周期は、小さい建物ほど短い周期になり、大きい建物ほど長い周期になります。
建物の固有周期と地震の揺れの周期が重なり共振現象が起きてしまった場合には、建物は大きく揺らされてしまうことになります。
この共振現象を分かりやすく説明している動画があるので、興味がある方はご参照ください。
地震によって建物が倒壊する3つの要因|まとめ
今回は、地震によって建物が倒壊する3つの要因について解説しました。
地震によって建物が倒壊するときには、地震の強さだけではなく共振現象も重要な要素になります。
地震の揺れが小さいものであっても固有周期が合ってしまえば、徐々に建物の揺れが大きくなってしまうので、倒壊のリスクが高まっていきます。
地震に対しての正しい知識を持ち、日頃からの備えをしっかりしておきましょう。