2023年1月9日に放送されたきょうの健康「認知症の人が見ている世界とは?」をまとめていきます。
2025年には認知症の患者数は700万人、65歳以上の方の5人に1人は認知症になると言われています。
そのような状況において、どのように認知症と関わっていけばよいのかを考えていきます。
認知症の人が見ている世界
認知症の方が見ている世界は、健常者が見ているものとは異なります。
その世界の違いを理解することで介護への理解が変わります。
認知症の種類には何がある?
認知症にはその原因疾患によって種類があります。
認知症の種類 | 患者の割合 |
---|---|
アルツハイマー型認知症 | 67.6% |
脳血管性認知症 | 19.5% |
レビ-小体型認知症 | 4.3% |
前頭側頭葉型認知症 | 1.0% |
認知症の割合は「アルツハイマー型認知症」が一番多いのが特徴です。
認知症の方の考えや思い
健常者にとって認知症の方の発言は「何を言っているんだろう?」「意味が分からない」と思ってしまいます。
ただ、認知症の方にとってはそれらの言葉はきちんと意味があることです。
認知症がどのようなものなのかを知り、寄り添い、理解することで、介護のあり方が変わり、介護者も認知症の方もより良い方向へ向かうことができます。
- 何度も同じことを聞いてしまう
- ここはどこだろう?
- 喉が渇きペットボトルを開けるのにハサミを探してしまう
- お風呂に入りたくない
- 早口で何を言っているのか分からない
何度も同じことを聞いてしまう
「何度も同じことを聞いてしまう」のは、認知症の方にとって聞いている内容についてそれだけ心配であり関心があることを表しています。
ただ、アルツハイマー型認知症では覚え続けることが苦手である「短期記憶障害」の状態であるためどうすることもできません。
認知症の方は、周囲の人に迷惑をかけたくないという不安な気持ちを常に持って生活をしています。
そのため、「何度も同じことを聞いてしまう」という行動をとってしまいます。
ここはどこだろう?
「場所が分からない」のは、認知症の方は「いつ・どこ・誰」という認識が苦手になる「見当識障害」の状態になります。
この見当識障害は「いつ」「どこ」「だれ」の順に障害が現れることが多く、この症状が出ると自分が一番輝いていた時代に逆行してしまうことがあります。
- 男性:働き盛りの頃 30代~40代
- 女性:子育て中の頃 20代~30代
また、「どこ」という障害は家の中でも起こり、トイレの場所が分からなくなったりすることもあります。
デイサービスや病院などの行くときには、「どこ?」という理解がないと不安・混乱・恐怖を感じてしまうこともあります。
喉が渇きペットボトルを開けるのにハサミを探してしまう
認知症の方は、脳の衰えによって「思考が苦手」「判断が苦手」になります。
物事を考えて、道筋を立てて、判断をくだして、実行する、これを「実行機能障害」と言います。
認知症の方は必死に考えて答えを出したが、健常者からすると理解ができない行動になってしまう。
お風呂に入りたくない
認知症の方にとっては「お風呂に入る」ことは本当に大変で疲れます。
- 洋服の脱ぎ方が分からない
- お湯の出し方が分からない
- シャンプー・リンス・ボディーソープがどれか分からない
- お湯の止め方が分からない
- バスタオルがどこにあるのかが分からない
- 洋服の着方が分からない
認知症では手順や段取りが苦手になり分からなくなるため、混乱しやすくなります。
健常者では一日に3,000回程度の選択をして生活をしていると言われているため、認知症の方にとって生活の行動すべてが負担になっています。
また、認知症になると、お風呂のお湯に対して身体感覚が「鈍くなる」「敏感になる」ことによって、すごく冷たく感じたり、逆に熱く感じたりすることもあります。
そのことに加えて、嗅覚も鈍くなってしまった場合には「体の臭い」にも鈍くなってしまうので、お風呂に入らないという行動にいたってしまいます。
早口で何を言っているのか分からない
認知症の方は、健常者の会話を2倍速で聞かされているように速く聞こえています。
そのため、言葉が繋がって聞こえていて、理解がしにくくなっています。
例えると健常者が海外に旅行に行った際に、外国人に一斉に話しかけられているような感覚に近いです。
認知症の場合には、言葉を理解したり発したりする脳の領域が衰えるので、聞くことだけではなく話すことも苦手になります。
この感覚は耳が聞こえにくくなる難聴の状態とは異なりますが、難聴によって認知症のリスクが高まることも報告されていて、補聴器を使うことによってリスクを下げられると言われています。
認知症の人が見ている世界|まとめ
健常者と認知症の方の見ている世界は、ズレが生じてくるので問題になりやすくなります。
そのため、認知症の人が見ている世界がどのようなものかを理解することで、その思いを知ることができ介護もしやすくなります。