2023年1月10日に放送されたきょうの健康「認知症の方への優しいケア」をまとめていきます。
2025年には認知症の患者数は700万人、65歳以上の方の5人に1人は認知症になると言われています。
そのような状況において、どのように認知症と関わっていけばよいのかを考えていきます。
認知症の方への優しいケア
認知症の方が見ている世界は、健常者が見ているものとは異なります。
その世界を知り、より良い介護へ繋げていくにはどうしたらよいのかを考えて行きます。
認知症の方への優しいケアの考え方
認知症の方への優しいケアの考え方には「パーソン・センタード・ケア」というものがあります。
この「パーソン・センタード・ケア」とは、「共にあること・くつろぎ・自分らしさ・結びつき・たずさわること・愛」を含めてすべてを満たすようなケアをすることです。
共にあること・くつろぎ・自分らしさ・結びつき・たずさわること・愛
つまり、認知症の方がどのように考え、何を感じて、何を求めているのかを想像することがポイントになり、その方のことを尊重し、その方の立場に立って考えるケアが重要になります。
- どのように考え、何を感じて、何を求めているのかを想像する
- その方のことを尊重し、その方の立場に立って考える
認知症の方への優しいケアの実際
認知症の方の症状に合わせた優しいケアを考えていきます。
「何度も同じことを聞いてくる」ことへのケア
認知症の方が「何度も同じことを聞いてしまう」行動は、そのことに関心や不安があることを示しています。
何度も同じことを聞かれることを嫌がるのではなく、認知症の方の「裏の思いに気付くこと」が重要になります。
実際には、認知症の方の心をゆさぶるように「喜怒哀楽の感情」の言葉を足して会話をすることが重要で、このことは記憶に結びつきやすいと言われています。
「デイサービスはいつだっけ?」という問いに対して…
「デイサービスはあさってですよ」とだけ返答するのではなく
「デイサービスはあさってですよ」+「仲の良い○○さんに会えるから楽しみですね!」と前向きなメッセージを足す
前向きなメッセージを足すことで記憶に残りやすくなる
喜怒哀楽の言葉を足しても、認知症の方は不安がおさまらないこともあります。
そのようの場合には、「私が代わりに覚えておくからね」と記憶を肩代わりすることで認知症の方は安心します。
ポジティブな感情に誘導し、不安を解消させることが重要です。
「場所・時間・人物が分からない」ことへのケア
「場所・時間・人物」が分からないという「見当識障害」の症状は認知症の方の特徴になります。
この見当識障害に対しては、認知症の方の不安や恐怖を取り除き、安心できる声かけをすることが重要です。
この声かけは「まずは本人の話を聞き思いを知る」ことが大切です。
認知症の方の発言が異なっていても、まずはその話に付き合い、どのような思いがあるのかを知ることが大切です。
- 会社はどこですか?
- 会社は何時からですか?
認知症の方の頭の中で起こっている事柄に少し付き合うことで落ち着いていく。
認知症の方との会話の中で、話に共感しながら、現在の状況を思い出すヒントを一緒に探していくことが重要です。
- 職業や仕事内容
- 習慣:参加していた行事や日課
- 趣味:好きなことや得意なこと
「お風呂に入らない」ことへのケア
お風呂やトイレは、密室で一人で行う行為であるため、手順が分からなくなることで不安になり入りたくなくなります。
そのため、どのように声かけをしてお風呂に入ることを誘導するかが大切になります。
「お風呂が沸いたから入ったら」とうながすだけではなく、「温かいお風呂がちょうど沸いたとこだけど入らない?」とうながしたり、「背中を流してあげるから入らない?」と声かけすることで、お風呂に入りたくないという気持ちが少し和らぎます。
きちんとお風呂に入れたかどうかをそっと見守ることが大切です。
たとえば、髪の毛を洗ってはいるが洗い流していないときでも「洗えていないじゃないか」と怒るのではなく、「泡がついてるから流させてね。ありがとう。」とこちらが先に感謝を伝えることでケアができます。
「そっと見守る」+「苦手な部分を手伝う」ということが大切です。
「会話の内容を理解できない」ことへのケア
認知症の方は、健常者の会話を2倍速で聞かされているように速く聞こえています。
このことは、話す内容を「句点や読点を意識して話す」と内容が伝わりやすくなります。
とくに、長く繋がっている文章は理解されにくくなるので、短く簡単な言葉で3単語ぐらいに分けて話すことが大切です。
「あした夕食は外で食べるよ。」だと長い文章なので、
「あした。夕食。外よ。」と単語に分けてあげると理解しやすい。
言語的コミュニケーションももちろん大切だが、非言語的コミュニケーションも大切です。
非言語的コミュニケーションとは、ジェスチャー・声のトーン・体に触れるなどのことで、自分があなたの味方だと伝えることが重要です。
また、話ながらジェスチャーを混ぜるときには、先にジェスチャー、そのあとに話をするというふうに分けることも大切です。
話とジェスチャーを同時に行うと、脳で2つのことを同時に処理しなくてはいけなくなるため混乱してしまいます。
認知症の方への優しいケア|まとめ
健常者と認知症の方の見ている世界は、ズレが生じてくるので問題になりやすくなります。
認知症の方は不安になりやすいので、しっかりと言葉かけの中で心を揺さぶるように話をし、そして相手に伝わるように話をすることが大切になります。