地震の揺れには「縦揺れ」と「横揺れ」があります。
この2つの揺れは、揺れ方が異なるだけではなく到達時間や揺れの大きさにも大きな違いがあります。
今回は、「縦揺れ」と「横揺れ」についてそれぞれの特徴を解説していきます。
地震で起こる「縦揺れ」と「横揺れ」の特徴
地震では「縦揺れ」と「横揺れ」が発生しますが、この2つの揺れにはそれぞれ特徴があり、建物に与える影響も異なります。
縦揺れの特徴は?
縦揺れは地面に対して縦方向に揺れが起きます。
岩盤中での伝播速度が速いことが特徴で、5~7km/秒のスピードで揺れが伝わっていきます。
そのため、地震が起きたときに初めに感じる揺れは縦揺れであり「最初の:Primary」という言葉を用い、別名「P波:Primary wave」と呼ばれます。
縦揺れは伝わる伝播速度が速いので、震源地が遠い場合には横揺れよりも早く伝わります。
- 地面に対して縦方向に揺れ
- 別名「P波:Primary wave」
- 5~7km/秒のスピードで揺れが伝わる
- 横揺れよりも早く伝わる
震源地が遠い場合、大きな揺れの前にカタカタと起こる小さな揺れは縦揺れによるものです。
横揺れの特徴は?
横揺れは地面に対して横方向に揺れが起きます。
岩盤中での伝播速度が遅いことが特徴で、3~4km/秒のスピードで揺れが伝わってきます。
そのため、地震が起きたときには縦揺れのあとに揺れを感じ「2次的な:Secondary」という言葉を用い、別名「S波:Secondary wave」と呼ばれます。
横揺れのエネルギーは縦揺れのエネルギーに比べ非常に大きいため、人や建物を大きく揺らし、建物の破壊は横揺れによって起こります。
- 地面に対して横方向に揺れ
- 別名「S波:Secondary wave」
- 3~4km/秒のスピードで揺れが伝わる
- 縦揺れよりも遅く伝わる
- エネルギーが非常に大きく、建物の破壊は横揺れによって起こる
横揺れは縦揺れに比べ伝播速度は遅いのですが、非常に大きいエネルギーを持っているため、建物を大きく揺らし倒壊させます。
縦揺れと横揺れの到達時間は?
地震が起きると、震源から縦揺れ(5~7㎞/秒)と横揺れ(3~4㎞/秒)が伝わってきます。
伝わる速度が分かっているので、震源からの距離が分かれば、どの程度の時間で揺れが到達するのかを計算することができます。
仮に、震源から90㎞の位置で、縦揺れ(5㎞/秒)横揺れ(3㎞/秒)で揺れが到達するとすると、
- 縦揺れ:90÷5=18秒
- 横揺れ:90÷3=30秒
という計算になり、縦揺れは地震発生から約18秒後、横揺れは縦揺れの到達してから12秒(30-18)後に到達することになります。
下の表に、縦揺れが5km/秒、横揺れが3km/秒のときに震源からの距離で揺れの到達時間がどのようになるかをまとめました。
震源からの距離 | 縦揺れの到達時間 | 横揺れの到達時間 | 到達時間の差 |
---|---|---|---|
30㎞ | 6秒 | 10秒 | 4秒差 |
60㎞ | 12秒 | 20秒 | 8秒差 |
90㎞ | 18秒 | 30秒 | 12秒差 |
120㎞ | 24秒 | 40秒 | 16秒差 |
150㎞ | 30秒 | 50秒 | 20秒差 |
180㎞ | 36秒 | 60秒 | 24秒差 |
地震が発生するとあっという間に揺れが起きることが把握できます。地震対策の大切さがよく分かります。
縦揺れと横揺れを動画で学ぶ
地震によって起こる縦揺れと横揺れの違いはなかなか理解しづらいものです。
そのような方のために、さらに分かりやすく説明されている動画をご紹介します。
動画は、NHKさんが作成したもので「70個の振り子が等間隔に吊り下げられた実験装置」を使って縦揺れと横揺れの伝わり方の違いを見るものです。
動画を見ると縦揺れ(P波)と横揺れ(S波)の伝わり方の速度や大きさの違いを理解しやすいです。
70個の振り子が等間隔に吊り下げられた実験装置を使って、揺れの伝わり方の違いを見る実験です。
70個のおもりはバネで繋がっており、これを地震の揺れを伝える地面に見立てます。
- 実験①:振り子を真後ろに引いてはなす(P波)
- 実験②:振り子を横に揺らす(S波)
- 実験③:振り子を斜め後ろに引いてはなす(P波+S波)
縦揺れ(P波)と横揺れ(S波)の伝わり方についてとても分かりやすい動画です。
「縦揺れ」と「横揺れ」到達時間の違いとそれぞれの特徴|まとめ
今回は、「縦揺れ」と「横揺れ」についてそれぞれの特徴を解説しました。
地震で起こる縦揺れと横揺れの特徴をまとめると下の表のようになります。
縦揺れ | 横揺れ | |
---|---|---|
略称 | P波 | S波 |
伝播速度 | 5~7㎞/秒 | 3~4㎞/秒 |
特徴 | 早く到達 小さい揺れ | 遅く到達 大きな揺れ 建物を破壊 |
地震を防ぐことはできませんが地震への備えはすることができるので、正しい知識を持ち、正しい準備をしっかりしておきましょう。