寒い冬に起こる乾燥による肌トラブル。
この乾燥肌によって多くの方が悩んでいるのが「肌のかゆみ」です。
そんな肌のかゆみを抑えるために重要な肌の保湿ですが、多くの方が不十分な保湿をしています。
そこで、今回は肌のかゆみを改善するための正しい保湿術をご紹介していきます。
肌の乾燥とかゆみのしくみ
肌が乾燥するとカサカサしてかゆくなりますが、このかゆみくなる原因には「かゆみ神経」が関係しています。
肌は表面にある「表皮」とその奥にある「真皮」に分かれていて、かゆみ神経は通常は真皮の中でおとなしくしています。
つまり、健康的な肌であればかゆみ神経があるのは真皮の層までなので、皮膚に刺激があってもかゆくなることはありません。
かゆみ神経はいつでも表皮に出てきたい!?
通常は真皮の中でおとなしくしているかゆみ神経ですが、いつでも表皮まで出てきたい状態にあります。
その理由は、体を守るためです。
かゆみ神経は異物からの皮膚への刺激に対して、神経を伸ばし敏感になることで、異物を排除するように促すことで体を守っています。
「セマフォリン3A」がかゆみ神経を抑えている
いつでもかゆみ神経が表皮に出て行きたいことは前述した通りです。
ただ、かゆみ神経が表皮に出ないように抑えている物質があります。
それがかゆみ神経を抑えるタンパク質「セマフォリン3A」です。
肌の乾燥で「セマフォリン3A」の力が弱まると・・・
かゆみ神経を抑えているセマフォリン3Aの力の源は、肌にある水分やカルシウムイオンです。
でも、肌が乾燥してしまうと、この水分やカルシウムイオンが減っていきます。
そして、水分やカルシウムイオンが減少した肌ではセマフォリン3Aがうまく機能せず、かゆみ神経がどんどん表皮に延びてくることになります。
その結果、少しの刺激で肌のかゆみが出現することになります。
肌のかゆみにより肌をかきむしると・・・
肌のかゆみが出現すると、どうしても肌をかきむしってしまいます。
皮膚の表面にある「角層」は、水分を保持してくれているだけではなく、異物の侵入も防ぐ役割をしていますが、擦ることで簡単に壊れてしまいます。
つまり、「肌の乾燥→肌のかゆみ→かきむしる→角層の破壊→肌の乾燥」というながれを繰り返し、セマフォリン3Aもますます少なくなります。
この状態になると皮膚は炎症を繰り返し、最悪の場合アトピー性皮膚炎などになってしまう可能性もあります。
肌の乾燥とかゆみへの対策は「保湿剤」が有効
肌の乾燥とかゆみへの対策は「保湿剤」が有効です。
ただ、保湿剤の塗り方を正しくできていない方が多いので、肌の乾燥とかゆみへの対策ができていない場合がほとんどです。
保湿剤の使い方には3つのポイントがありますのでご紹介します。
- たっぷり量を塗る
- 丁寧に擦り込む(最低30回は擦り込む)
- 頻度を増やす(1日2回は塗る)
たっぷり量を塗る
たっぷり量を塗るに対しての「たっぷり」とは、人差し指の第一関節までの量の保湿剤です。
この量を基準として、塗る場所によって保湿剤を取り出す量を増やしていきます。
人差し指の第一関節までの量(1FTU:Finger Tip Unit)を基準の量とします。
この1FTUが手のひら2枚分の面積に塗る適量とされています。
専門医の説明ではティッシュが貼り付くぐらいの感じになるそうです。
※体の部位ごとのFTUは下の表を参照してください。
胴体(胸・腹) | 7FTU |
胴体(背中・臀部) | 7FTU |
片腕(脇~手首) | 3FTU |
片手(手首~指先) | 1FTU |
片脚(太もも・ふくらはぎ) | 6FTU |
片足(足首~足先) | 2FTU |
丁寧に擦り込む(最低30回は擦り込む)
保湿剤は丁寧に塗り伸ばし、目安として30回は塗り伸ばすようにします。
このときの力加減は、角層を壊さないようにゆっくり優しくで、木綿豆腐を崩さないくらいの力加減が理想です。
30回という回数はすごく多いように思えますが、30回ぐらいしっかり擦り込まないとどうしても塗りムラが出てしまいます。
また、30回塗ることで塗りムラだけでなく、保湿剤の浸透にも違いがでます。
塗り伸ばすときの力で皮膚が横方向に引っ張られる
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細胞のスキマが広がる
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細胞のスキマから保湿剤が染み込んでいく
肌への保湿剤の浸透を考えると30回は擦り込まないといけません。
アトピー性皮膚炎の方は悪化する可能性があるので擦りすぎには注意が必要です。
頻度を増やす(1日2回は塗る)
一般的な保湿剤の効果は長くても約6時間程度しかありません。
なので、効果が切れた頃にもう一度保湿剤を塗るようにします。
タイミングはあまり気にしなくても十分な効果があります。お風呂上がりのときには1時間以内に塗れば問題ありません。
おすすめのタイミングは朝と夜です。
保湿剤を使用するにあたってのQ&A
保湿剤は顔に使ってもよいのか?
顔に使用可能な保湿剤は多いが、尿素を配合しているものは傷があると痛みを生じるものもあるので、使わない方があります。
また、顔は皮膚が薄い部分なのであまり擦り過ぎない方がよく、無理に30回塗り伸ばさなくても問題ないです。
保湿剤の種類による違いはあるのか?
保湿剤の保湿成分には「ヘパリン類似物質・ヒアルロン酸・セラミド類似物質」などがあるが、効果はあまり変わらないとされています。
ただ、保湿剤には「クリーム状のもの・ローションタイプ・泡タイプ」などの種類があるので、自分が使いやすいものを選ぶことが大切になります。
「正しい保湿術」冬の乾燥かゆみを防ぐ方法とは?|まとめ
今回は、2023年1月19日に放送された【あしたが変わるトリセツショー】で紹介された「冬の乾燥かゆみを防ぐ正しい保湿術」をまとめてました。
「たっぷりの量を30回以上、多くの頻度で擦り込む」という保湿術は確かに効果的ですが、なかなか続けることが大変です。
そのような方は、最初の1~2週間、継続してみると肌の変化が実感できるので、そのあとは自分の肌の状態に合わせて回数や塗る量を調整してもよいそうです。
頑張りきるために新しい保湿剤を購入するなど工夫して、まずは1~2週間を頑張ってみましょう。