しっかり休養をとっているのに、なかなか疲れが取れない。
このような経験は社会人になるほど多くなります。
これは疲労の種類によって家でじっと休むだけでは解消できない疲れがあるからです。
そんなときに試してみたいのがアスリートも実践している「アクティブレスト」という休養方法です。
アクティブレストは、安静にして体を休ませるのではなく、あえて体を動かして疲れを解消するという方法です。
今回は、アクティブレストについてどのような休養方法なのかをまとめていきます。
運動不足も疲れの原因になる!?
立ち仕事やデスクワークのような静的な作業は、長時間姿勢をキープするため、同じ部分の筋肉だけを継続的に使用します。
その結果、一部の筋肉に慢性的な疲労が溜まり「硬化」を起こしてしまいます。
そして、この筋肉の硬化が、だるさ、肩こり、腰痛などのさまざまな不調の原因となってしまいます。
筋肉の硬化によって老廃物が蓄積する
筋肉が硬化すると血の巡りが停滞し、体に老廃物が蓄積するようになります。
そのような状態なので、体を動かさずに休養しても筋肉の硬化は改善されず、血の循環も良くなりることはありません。
リラクゼーションやマッサージを利用することで、一時的に老廃物を流すことはできますが、根本的な解決には至りません。
そのため、適度に体を動かして筋肉をほぐし、全身の血の巡りを良くして、酸素や栄養が体全体に行き届くようにするアクティブレストが有効になります。
アクティブレストとは?
筋肉の硬化を改善するアクティブレストですが、疲れているときにあえて軽い運動をすることで血流を改善させ、疲労物質を効率的に排出する休養方法です。
安静・休養・睡眠などの「消極的休養」をパッシブレストと言いますが、アクティブレストは「積極的休養」とも呼ばれています。
アクティブレストはスポーツ選手の疲労回復方法
アクティブレストは、元々スポーツ選手が翌日まで疲れを残さないように行っていた疲労回復法です。
激しい運動をしたあとに軽く体を動かすクールダウンもアクティブレストのひとつで、疲労の蓄積予防だけでなく、新陳代謝を促進して体をリフレッシュさせることができます。
また、心身に負担が少ないのでリラックス効果も期待できます。
アクティブレストは、静的な仕事によって肩こりや腰痛などがある方にも効果があるとして注目を集めています。
アクティブレストの3つの効果
①血流改善による疲労物質の排出
アクティブレストは、軽度の全身運動をすることで呼吸循環器系を刺激していきます。
軽度の運動をすることで、体全体に酸素と血液が行き届きやすくなり、それによって疲労物質も排出されるようになります。
人の全身には動脈や静脈といった血管が張り巡らされていますが、動脈や静脈は筋肉のポンプ機能によって動いています。
そのため、疲労によって筋肉の硬化が起こると、ポンプの役割を持つ筋肉の動きが鈍くなるので老廃物や疲労物質が体内に停滞しやすくなってしまうことになります。
その結果、筋肉痛やむくみ、だるさといった症状を引き起こすことになります。
アクティブレストによって、血流改善を促し疲労物質の体外への排出を行っていきます。
②運動を継続することによる代謝アップ
アクティブレストは1日10分程度の軽い運動で実践できるため、忙しい人や運動が苦手な人でも取り組みやすいメリットがあります。
そして、取り組みやすいことで習慣化することができ、継続して行うことでの代謝の向上も期待できます。
代謝がアップすればカロリー消費量も増えるので運動不足解消に十分効果的です。
③自律神経のバランスを整える
幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンは、心のバランスを保つ役割を持つ神経伝達物質です。
このセロトニンが不足すると自律神経のバランスも乱れやすくなり、ストレスを感じたり不眠などの不調に陥ったりしやすくなります。
アクティブレストで軽度の運動を習慣化させることは、この不足したセロトニンを分泌させる効果もあります。
それによって、自律神経のバランスが整い、イライラやストレスを解消する効果も期待することができます。
アクティブレストの方法
アクティブレストを実践するときには、以下の3つのポイントを満たす運動を選ぶことが大切です。
- 息が上がらない程度の軽度の運動
- 気軽に続けられる運動
- 心地良いと感じる運動
あまり激しい運動をしてきついと感じてしまうと、ストレスになってさらに疲労が溜まってしまうリスクがあります。
そのため、アクティブレストは体が程良く温まり、心身ともに心地良さを感じられる程度の運動にとどめることが大切です。
具体的なアクティブレストは以下のようなものになります。
①ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動
全身を動かす有酸素運動にはさまざまな種類がありますが、アクティブレストでは息が上がらない程度の軽いウォーキングやジョギングがおすすめです。
運動に対する負荷の感じ方には個人差があるため、余裕を持って続けられるテンポやリズムを意識しながら取り組んでみましょう。
運動不足の方は散歩などから始めることもおすすめです。
②全身を水に浸ける(プールや入浴)
プールや入浴など、全身を水に浸けることも効果的です。
浮力によって筋肉の緊張が緩和され、水圧で全身の血行も促進されます。
プールでは無理に泳ぐ必要はなく、軽めの水中ウォーキングやただ浸かっているだけでも効果が期待できます。
普段、お風呂はシャワーだけという人は、きちんと湯船に入るようにすると効果的です。
心地良さを感じるためにも、38~40℃の少しぬるめのお湯にゆったりと浸かります。
入浴で一時的に体温が上がるため質の良い睡眠にもつながり、しっかりと体を休ませることができます。
③仕事中にできるアクティブレスト
仕事が忙しくてなかなか時間が取れないという方もいると思います。
ただ、アクティブレストは通勤中や仕事中にも実践できるものが多くあるので挑戦してみましょう。
ポイントは、積極的に体を動かし、筋肉を伸ばすことを意識して、同じ姿勢を続けて筋肉が凝り固まってしまう状態を防ぐことです。
30分~1時間おきにストレッチをする
デスクワークに集中していると、背中や腰の広範囲の筋肉が緊張して血の巡りが悪くなってしまいます。
そこで、30分おきに椅子に座ったまま大きく伸びをしたり、立ち上がってトイレに行ったりするなど、少しでも体を動かす習慣をつけるようにしましょう。
階段を使う
エスカレーターやエレベーターをなるべく使わず、階段を使うようにすることで運動になります。
とくに、下半身の筋肉を使うことになるので血流改善効果を得ることができます。
普段より10分程度長めに歩く
退勤時はいつもより遠回りして帰る、1駅手前で降りて歩くなど、歩く距離を長めにしてみることもおすすめです。
スマートフォンの万歩計アプリなどを使って歩数や歩行距離を記録すると、日々のモチベーションアップにもつながります。
外の景色を眺めることで気分転換にも繋がります。
④自宅で行う「ながらストレッチ」
自宅でできるおすすめのアクティブレストはストレッチです。
とくに、「ながらストレッチ」がおすすめです。
テレビを見ながら、歯磨きをしながらなど、室内での行動にストレッチを組み込むだけの簡単なものです。
疲労が溜まると、筋肉が張って痛みや違和感が生じたり、関節がうまく動かせなかったりといった症状が現れます。
ストレッチで筋肉をじっくりと伸ばすことで血行も良くなり、筋肉の張り解消や、関節の可動域を広げることができます。
疲労回復を早めるアクティブレスト|まとめ
日々の立ち仕事やデスクワークを続けていると、無意識のうちに筋肉に疲労が溜まってしまいます。
休養してもだるさや肩こり、腰痛などが解消されない場合には、アクティブレストを取り入れてみましょう。
適度に体を動かして疲労を解消するアクティブレストを実践することによって、健康的に過ごしていきましょう。