「討論」の良し悪しで得るものと失うもの

”討論”とはある議題についてさまざまな意見を出し合い論じ合うことです。

より良い討論をすることができれば、結果として皆に受け入れられやすい解決策を導き出すことができます。

ただ、それとは逆に討論のまねごとをしてしまうと解決策を導き出すことはできますが、皆に受けいられにくい解決策を導き出してしまうことになります。

そのため、何かを決定しようと討論の場を持つときには無駄な討論になってしまわないように注意が必要です。

”良い討論”と”悪い討論”で得られるもの

”討論”とはある議題についてさまざまな意見を出し合い論じ合うことですが、その良し悪しで結果は大きく異なります。

もちろん良い討論では良い解決策が生まれやすく、悪い討論では悪い解決策が生まれやすくなります。

では、どのような討論が良い討論であり、どのような討論が悪い討論なのかをそれぞれ考えていきます。

悪い討論とは？

悪い討論とは、さまざまな意見をぶつけ合うわけでもなく、ただそのまねごとをしている話し合いのことです。

上司や年上など、立場が上にあたる者の意見ばかりが尊重され、新人や年下の意見はないがしろにされたり、そもそも発言ができない状況をつくられている討論の場で起こります。

このような討論の場が繰り返し行われると、新人や年下など意見を尊重してもらえない立場の者は発言をしなくなっていきます。

そのため、立場の上の者の意見ばかりが尊重される職場になってしまい、モチベーションの上がらない職員は仕事を中途半端にし始めたり、最悪の場合、離職をすることになります。

よくある無駄な討論の事例を挙げてみました。

上司が部下の意見を聞く気がない

議論をする場合であっても上司の中でその答えが決まっている場合に起きやすいです。

そもそも答えが決まっているため、討論をしてもその答えと似た意見だけを尊重し、異なる意見は排除します。

このような討論は、”議論をした”という実績が欲しい上司が行ってしまいがちです。

上司の好き嫌いが激しい

上司の好き嫌いが激しい場合、好きな職員の意見は採用されやすく、嫌いな職員の意見は採用されにくくなってしまいます。

この行為は「上司が部下の意見を聞く気がない」の状態よりもたちが悪く、嫌われている職員を離職に追い込んでしまうことに繋がりやすいです。

年下の職員の意見は聞く気がない

討論の場に年齢による上下関係を重視する職員がいると起こりやすいです。

”先輩の言うことは絶対”という考え方がしみついているため、年下の職員の発言に対して威圧的な態度をとってしまうなど、発言をさせない雰囲気づくりをしてしまいます。

このような職員は討論の場以外でも同様のことをしていることがあるので注意が必要です。

討論とは、あくまで意見を闘わせることなので、そこに職場の立場や年齢などを原因に威圧的な態度や暴力的な行為があってはいけません。そのような状況においての討論は討論にはならず、最終的には一部の意見だけが通る伝達の場になってしまいます。

討論を行う際には、演説や講演のように聴かせるだけの場にならないようにすることが大切です。討論にならなかった場合に残るのは「意見を通した権力者の優越感」と「意見を踏みつぶされた部下の屈辱感・劣等感」です。このようなことが繰り返されると徐々に形ばかりの討論の場になり、意見は出なくなっていきます。

良い討論とは？

良い討論とは、立場や年齢といった外部因子に関係することなく、それぞれの意見を出し合い、論じ合い、そしてその中からより良い解決策を生み出すことです。

立場や年齢という部分を考えると、なかなかそこまでの討論を行うことは不可能に思えますが、そのような討論を行う工夫をする努力は必要で、その努力は上司や年上といった立場や年齢が上の者に求められるものです。

そのような垣根を越えて良い討論を行えたときには以下のようなメリットがあります。

• 考えるきっかけを与える
• 意見を変えるきっかけを与える
• より良い解決策を生む
• 解決策は受け入れられ実行されやすい
• 関わった者を育てる

考えるきっかけを与える

より良い討論ではさまざまな立場、年齢の者からの意見を聞くことができます。異なる視点や考え方での意見を聞くことで、自分自身があらためて考えるきっかけをもらえることになります。

意見を変えるきっかけを与える

自分以外の多くの考えを聞き、あらためて考えることで、自分の意見が変わることもあります。その意見は以前の意見をさらに前進させたものかもしれませんし、大きく異なる意見かもしれません。ただ、新しい意見を持つことで討論の場もさらに活性化します。

より良い解決策を生む

討論の場にいる者があらためて考え、意見を変え、さらに討論の場が活性化することで、最初は予想もしていなかった解決策を生むことができます。それだけ、討論の場においては多くの意見が出ることが望ましいです。

解決策は受け入れられ実行されやすい

討論の場において多くの意見を出した上での解決策ならば、自分自身も受け入れやすく実行しようと思います。逆に、ただその場にいただけの者は決まった解決策をなんとなくで受け入れ、なんとなくで実行してしまいます。そのため、討論には多くの者が参加し意見することが大切です。

関わった者を育てる

より良い討論の場では、討論に関わったメンバーが相互に啓発され、自然に各人の成長が促進されます。その成長は立場が上の者も同じように促進されます。また、それぞれの意見を聞くことによってより良い人間関係も築くことができます。

”良い討論”と”悪い討論”で得られるもの｜まとめ

”討論”とはある議題についてさまざまな意見を出し合い論じ合うことですが、良い討論と悪い討論のどちらであるかでどのような解決策が生み出されるかが異なります。

良い討論を行うためには、どれだけいろいろな意見が出やすい場を作ることができるのかがとても重要です。

人材育成にもつながるより良い討論の場をつくっていきましょう。