歯磨きをきちんとすることで、歯の汚れを落とし、口の中を衛生的に保つことができます。
ただ、歯磨きに使用する歯ブラシも衛生的に管理しているでしょうか?
口の中を衛生的に保つための歯磨きも、使っている歯ブラシに雑菌が増え過ぎると健康被害を起こす可能性があります。
今回は、歯ブラシを衛生的に管理する方法と交換時期の見極め方についてまとめていきます。
使った歯ブラシの細菌やウイルスの量
皆さんは使ったあとの歯ブラシをどのように管理されていますか?
日本人の95%以上が毎日歯を磨き、そのうち1日2回磨く人が約半数、3回以上磨く人も3割近くいます。
ただ、使用後の歯ブラシをきちんと管理している方はごくわずかです。
歯磨き後の歯ブラシを洗っても細菌やウイルスは一定数付着していて、もし歯ブラシが濡れたままなら付着した菌は時間とともに増えることが予測されます。
歯ブラシに付着する可能性のある細菌・ウイルス
雑菌のすべてが有害とは限りません。
ただ、虫歯の原因となるミュータンスレンサ球菌が歯ブラシに残っていると24時間後も生存しているとの報告もあります。
また、プラーク(歯垢)1mgの中には、およそ300種類1億個もの細菌がいます。
そのため、プラークが付いた歯ブラシを放置するのはもってのほかです。
一人暮らしなどでトイレと一緒になったバスルームの場合には、大腸菌が付着するリスクが高くなるので歯ブラシをバスルームに置くのは避けましょう。
歯ブラシに付着した雑菌がどれくらい増えると健康被害につながるのかの明確なデータはまだありませんが、毎日使う歯ブラシを衛生的に保つことは大切なことです。
歯ブラシの菌を抑えるポイントは?
歯ブラシの雑菌を減らすためには、以下の4つのポイントが重要です。
①使用後の歯ブラシに付いた汚れを丁寧に洗い流す
広島大学歯学部小児歯科学講座「小児における歯口清掃器具の洗浄と保管に関する細菌学的調査(1994年)」においては、「全く洗わない」「コップの中でゆすぐ」「流水中で指で軽く洗う」「流水中に当てる」「流水中で指で強く洗う」の5つの方法で洗浄後の付着菌数を比較し、「流水中で指で強く洗う」ことが最も菌が付着していなかったとされています。
蛇口から水を出したまま、歯ブラシを指でマッサージするような感じで10秒ほど洗い流すと効果的だということでした。
②風通しのよい場所でしっかり乾燥させて保管する
歯ブラシが濡れていると雑菌が増えやすくなります。
そのため、歯ブラシを立てて風通しのよい場所に保管することも重要です。
キャップを使う場合には、濡れたままかぶせると歯ブラシが乾燥しづらく、雑菌が増えやすい状態が長く続いてしまいます。
必要ないときにはキャップ外しておき、乾燥してからかぶせるようにするとよいです。
③家族同士であっても歯ブラシを一緒に保管しない
家族で同じコップに歯ブラシを立てるなど歯ブラシ同士が触れやすい状況は、家族内で菌やウイルスの感染が広がる可能性が高まります。
それを防ぐために、歯ブラシは個別に保管することが大切です。
④歯ブラシを殺菌する
市販の歯磨きペーストには菌の繁殖を抑制する成分を含んだものも多く、歯磨きで使うと歯ブラシに付着する菌を減らす効果が期待できます。
雑菌が気になる人は、殺菌作用のある洗口剤で定期的に歯ブラシを洗うとよいです。
歯ブラシはしばらく使うと毛先に細かな傷がついて汚れが取れにくくなり、毛の根元にも汚れがたまりやすくなります。
菌を増やさないためには定期的に歯ブラシの交換をしましょう。
歯ブラシ交換のタイミングは?
一般的に、歯科医院では歯ブラシの交換時期を1ヵ月程度とアドバイスしていることが多いようです。
この理由は、毛先が広がると汚れを落とす力が弱まり、歯や歯ぐきを傷つけやすくなるためです。
歯ブラシの使い方によっても傷み方や汚れのたまり具合は異なるので、最長1ヵ月を目安に毛先の摩耗や広がり、毛の根元に残った汚れなどに気づいたら、こまめに取り換えるようにすることが大切です。
歯ブラシの毛は曲がってもすぐ元に戻る弾力性が重要です。
口に入れたときの異物感やカタマリ感が少し弱くなったら交換時期と考えておくとよいです。
歯ブラシを衛生的に使う|まとめ
口の中を衛生的に保つための歯磨きが、実は雑菌を増やす原因になっていた。
そんなことにならないように、歯磨きをしたあとは歯ブラシを衛生的に保つように心掛けましょう。
歯ブラシも口の中も衛生的に管理して、虫歯や歯周病になりにくい環境を目指しましょう。