ほうれん草は、ビタミンなどの栄養素が豊富なことからとても人気のある野菜です。
そんなほうれん草のルーツや栄養素、アク抜きの方法などを紹介していきます。
ほうれん草の「ルーツ」について
ほうれん草は、もともとペルシャ(現在のイラン)周辺で栽培されていた野菜で、かつてペルシャが「菠薐(ほうれん)」と呼ばれていたことに由来して名づけられました。
品種は「東洋種」と「西洋種」の2つに分けられ、東洋種はシルクロードを通り中国に伝わったほうれん草で、西洋種はヨーロッパへ伝わったほうれん草です。
品種ごとに特徴があり、東洋種のほうれん草は葉が薄くギザギザしていて、西洋種のほうれん草は葉が厚くて丸みがあります。
日本に最初に伝わったのは東洋種ですが、現在は東洋種と西洋種をかけ合わせた交配種が多く出回っています。
東洋種 | 西洋種 | |
---|---|---|
伝わり方 | ペルシャから中国へ | ペルシャからヨーロッパへ |
葉の特徴 | 薄くてギザギザ | 厚くて丸みがある |
日本でよく見るほうれん草は、東洋種と西洋種をかけ合わせた交配種のほうれん草です。
ほうれん草の「選び方」について
ほうれん草は冬が旬の野菜で、霜にあたって甘みが増す11月~3月の時期においしいものが出回ります。
甘みがあるほうれん草は根元が赤いものなのでおすすめです。
逆に、黒ずみや黄色い葉が混ざっているものは古いものなので購入するときには注意が必要です。
- 11月~3月の時期は甘みが増す
- 根元が赤いものが甘みがある
- 黒ずみ・黄色い葉が混ざっているものは古い
植物は低温になると耐寒のために、養分濃度を高めて凍りにくくする性質があります。このため、糖やビタミンCの含有量が増加し、よりおいしくなります。
ほうれん草の「栄養素」について
ほうれん草は、周年栽培されるため1年中買うことができますが、季節によっても栄養素に大きな違いがあります。
ビタミンC
日本食品標準成分表2020年版において、100gあたりのビタミンCの量は、夏20mg、冬60mgとなっており、冬のほうれん草は夏のほうれん草の3倍のビタミンCが含まれているとされています。
夏 | 冬 | |
---|---|---|
ビタミンCの量 | 20mg | 60mg |
冬のほうれん草は、夏のほうれん草に比べビタミンCの含有量が3倍あります。
鉄分
ほうれん草の「鉄分」は、牛レバーに匹敵するほど多く含まれています。
鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」に分類され、ヘム鉄の方が体内によく吸収されます。
ほうれん草の鉄分は非ヘム鉄ですが、鉄分の吸収を助けるビタミンCを同時に摂取できる食材です。
ヘム鉄 | レバー・赤身肉・カツオなどの動物性食品に多く含まれる |
非ヘム鉄 | ほうれん草などの植物性食品に多く含まれる |
ほうれん草は「疲れやすい・頭痛・動悸・食欲不振」などの鉄欠乏性貧血を起こしやすい方におすすめの食材です。
葉酸
ほうれん草には「葉酸」も豊富に含まれています。
葉酸は、欠乏すると悪性貧血になるといわれているので、鉄分と同じく貧血気味の方にほうれん草はおすすめな食材になります。
「葉酸」はビタミンB群の仲間ですが、ほうれん草から発見されたことからその名がつけられました。
ほうれん草の「アク抜き」について
生食用のほうれん草以外は「アク抜き」をする必要があります。
アク抜きをすることによって、ほうれん草の臭みやぬめりを取り除き、食べやすくしてくれます。
ほうれん草の「アク抜き」の方法
ほうれん草のアクに含まれているのは主に「シュウ酸」です。
シュウ酸は水に溶けるので、茹でたほうれん草を水にさらすことで、アク抜き(シュウ酸を減らす)ができます。
アク抜きをするときの水にさらす時間は、1~2分が目安になります。
切れ込みを入れることで火の通りがよくなり、根元の砂が落としやすくなります。
お湯を沸かし塩を適量加える
塩を加えることで、ほうれん草の色味が抜けるのを防ぎます。
沸騰したお湯に根元、葉先の順につける
沸騰したお湯に根元だけ入れて、30秒ほど待ちます。
さらに、葉先を入れて30秒待ったら、鍋から取り出し芯が冷めるまで1~2分間冷水に浸してます。
絞って、カットする
最後は水分がなくなるまでしっかり絞り、好みのサイズにカットして使います。
お湯を使わずに、水にさらすだけでもアク抜きはできますが、茹でるのと比べてシュウ酸の除去量は億ありません。
ほうれん草をアク抜きしないとどうなるか?
ほうれん草はアクがしっかり抜けていると、ほんのり甘みを感じることができますが、アク抜きが不十分だと「えぐみ」や「苦味」が残ってしまいます。
アクの主成分はシュウ酸ですが、シュウ酸はカルシウムや鉄分の吸収を妨げるだけではなく、多量に摂取すると体内のカルシウムと結びつき、尿路結石や骨粗しょう症の原因にもなります。
シュウ酸はカルシウムと結びつき「シュウ酸カルシウム」になります。
シュウ酸カルシウムは凝集して結石を作りやすく、とくに尿路結石を起こしやすいです。
ほうれん草を生で食べると、消化管から吸収されたシュウ酸ナトリウムが消化吸収され、尿路でカルシウムと結合して結石を生じさせます。
ほうれん草のシュウ酸の対策方法は?
シュウ酸が多く含まれるほうれん草ですが、シュウ酸が体に吸収される前にカルシウムと結合させてしまうことで、吸収を抑えることができます。
鰹節などはカルシウムを多く含んでいるので、アク抜きをしたほうれん草にかけて食べることで、シュウ酸の吸収を抑えることができます。
冬が旬の「ほうれん草」!!そのルーツと栄養素、アク抜きの方法などを紹介します|まとめ
今回は、冬が旬の「ほうれん草」についてまとめました。
栄養価が高くおいしいほうれん草を健康のためにしっかり食べていきましょう。